合法的な残業代削減対策

労働基準法改正案「残業代割増率の引き上げ」

今通常国会に提出される労働基準法の改正案に、残業代割増率の引き上げが盛り込まれる予定です。

現行の残業(時間外労働)に対する割増率は法定労働時間を超えた労働時間に対し、一律25%以上の率とされています。

一方、今回の改正案では、残業時間を3段階に分け、それぞれ次のような割増率を設定することになっています。

①1ヶ月の残業時間が45時間以下の場合は、現行通り最低25%の割増率を適用
②45時間超80時間以下の場合は、①より割増率を引き上げる努力義務を課す
③80時間を超える場合は、50%以上の割増率を適用

なお、①と②は企業規模にかかわらず適用されますが、③は中小企業を対象外とし改正法施行(平成20年4月予定)後3年を経過した時点で中小企業を対象に加えるか改めて検討することになっています。

今回の残業代割増率の引き上げが会社の経営に対しどのような影響を与えるのかは、今後いろいろと検証する必要があると思います。
現時点で私が思うのをいくつか挙げると、

1.社員の残業時間の長短により割増率が途中から変わるため、残業代の計算がより複雑になる
2.長く残業することで残業代を増やそうと考える社員が出てくる
3.いつまでも中小企業だけ80時間超で50%以上の割増率適用のケースを除外するはずがない

といった点が考えられます。

当然、このような事例の対策を具体的に立てていかなければなりません。

特に中小企業の場合、残業80時間超で50%以上の割増率適用から今回は除外されましたが、これは3年間猶予期間をもらったと考えるのが正しく、その間にいかに労働時間の短縮と残業代の削減に取組むかが問われると言えるでしょう。

中小企業のための合法的な残業代削減対策

労働基準監督署による臨検監督(立ち入り調査)の結果、多くの企業で法令違反として是正勧告の対象となっているのが「時間外労働に対する割増賃金不払い」の問題です。

国は毎年6月と11月を重点月間として、集中的に指導にあたっています。

この問題は事前の対策によって、そのリスクを軽減できますが、仮に放置していれば企業経営に大きなダメージを与える問題です。

1.割増賃金(残業代)不払いの実態

・労働基準監督署の是正勧告ワースト2が割増賃金の不払い

・毎年6月と11月は労働基準監督署の割増賃金不払いに対する重点監督月間

・是正勧告に基づき、平成16年度に支払われた割増賃金は総額で約226億円

・社員(退職したものも含む)の公的機関等(労働基準監督署、総合労働相談コーナー、労政事務所、労働組合など)への駆け込み相談が急増

・送検(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)

・訴えられた時点から最大2年分の遡及払い

割増賃金の不払いをそのまま放置すれば、
会社の経営を揺るがす重大な問題に発展!

2.最大2年分の遡及払いとは?

仮に次のような会社が残業代を全く払っていなかったとしたら、
2年分遡及払いで・・・

・社員数60人
・社員の平均賃金月額30万円
・1ヶ月の所定労働時間170時間
・1ヶ月平均残業時間30時間

(30万円÷170時間)×1.25×30時間×2年
=約160万円
 160万円×60人=約9,600万円

この9,600万円と言う金額は2年分の遡及払い分のみです。

当然、将来に渡って割増賃金(上記の例で言えば毎月400万円)を支払わなければなりません。

仮に遡及が3ヶ月だったとしても、過去分だけで1,200万円も支払わなければならないことになります。

まさに、これは・・・
会社にとって存続が危ぶまれる、死活問題と言えるでしょう!

3.割増賃金の支払状況確認

次の項目を早急にチェックしてみましょう!

(1)36協定を今年は届出していない
(2)タイムカードは使っていない
(3)残業時間は30分単位で計算している
(4)月の残業時間は上限を決めて割増賃金を払っている
(5)基本給を対象に割増賃金を計算している
(6)営業担当者には営業手当を支給し、割増賃金は払っていない
(7)係長以上の役職者には、割増賃金を払っていない
(8)残業時間が1ヶ月80時間を超えることもある

これらいずれかに該当する場合・・・
割増賃金に関連する是正勧告の対象となる可能性が大きいです!

4.中小企業のための「合法的な残業代削減対策」

このような割増賃金不払いも、次のような事前の対策を取ることで、合法的に削減可能となり、会社の負担を軽減することができます。

(1)労働時間の適正な把握と管理を行なう

→タイムカードの利用も含め、まずこれが基本です。

(2)自社の業態、さらに各部署の実態に合った労働時間制度の導入

→同じ会社でも営業職・技術職・事務職と職種が異なれば、それに即した労働時間制度の採用が可能です。1ヶ月単位・1年単位変形労働時間制、みなし労働時間制、フレックスタイム制など実態に合った制度を導入します。

(3)割増賃金の計算方法の適正化

→算定基礎、残業時間の算出方法などを正確に理解し、運用することが大切です。

(4)固定的残業代制度の導入

→基本給や手当の一部にあらかじめ割増賃金の一部が組み込まれている制度の設計・導入を行ないます。

(5)労働時間に関する協定や規則等の整備・届出を行なう

→完成した対策案をきちんと明文化し、届出も行うことで法的な裏付けを確保します。

合法的な残業代削減には、コンサルタントの指導が不可欠です!

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