適格年金廃止に伴う退職金制度の見直し

「退職金制度の改定・適格退職年金の移行」緊急レポート

いよいよ残り21ヶ月を切った!
「適格退職年金の移行」これからの注意点

1.最終期限まで残り21ヶ月を切った!

平成12年4月に施行された「確定給付企業年金法」により、10年間の経過措置期間をもって廃止されることが決定している「適格退職年金」。
いよいよその最終期限である平成24年3月31日まで残り21ヶ月を切りました(執筆時点)。
未だに「適格退職年金の移行」が完了していない会社は、今後この最終期限をにらみながら制度改定を進めなければなりません。
その際に気を付けなければならないのは、制度改定の進行状況によっては最終期限に間に合わなくなる危険性があるということです。

2.平成24年3月31日までに完了すべきこと

平成24年3月31日は、次の2つの事項の最終期限になります。

1. 適格退職年金が税制優遇措置を受けられる。
2. 適格退職年金を国が認める一定の制度に移行できる。

すなわち、平成24年3月31日以降は税制優遇措置を受けられず、かつ他の制度への移行もできなくなります。
特に上記2のケースは、適格退職年金の資産(積立金)が実際に移行先となる制度に移換している状態までが要求されます。
後で述べるように、移行先によっては移行・移換手続きに、数ヶ月を要することもあるため、余裕を持った制度改定が必要となります。

3.制度改定スケジュール

それでは、平成22年7月1日に制度改定に着手した場合の改定スケジュール(予定)を見てみましょう。
このケースでは、確定給付企業年金を移行先としています。

①制度改定着手・改定期間
制度改定の期間は、改定内容、企業規模、労働組合の有無等により異なるため、一概には言えませんが、一般的には4~6ヶ月は必要と考えます。事例では、5ヶ月とし、制度改定の期間を7月から11月までとしています。

②制度内容の確定・従業員との合意
移行・移換手続きに着手する前に、年金規約案の作成が必要です。
そのためには、移行後の制度内容が最終的に確定しなければなりません。
例えば、制度が特殊なケースや給付減額が伴う場合は、この段階から厚生労働省との事前相談が必要になる場合もあります。
また、従業員との間で制度改定に関する合意が図られていることも大切なポイントです。適格退職年金と比較して移行後の制度が給付減額となる場合は、申請時に労働組合や従業員から減額同意書の回収が必要となるからです。
事例では、これらが12月末までに完了していることを前提に、その後の手続きに進みます。

③予備申請
確定給付企業年金に移行する場合、厚生労働省に申請し、制度の承認を得る必要があります。
承認には、本申請に先立って規約案の提示・確認を行う予備申請があります。いわば、本申請に向けてのエントリー作業ですが、事例では平成23年1月末までに行います。

④本申請・規約承認
給付減額となる場合は、本申請の際に先ほどの減額同意書の添付が必要です。
また、本申請後、規約承認までの標準処理期間は現在2ヶ月となっています。
したがって、事例では本申請を平成23年2月末までに行い、4月末の規約承認を経て、5月1日より新制度がスタートする運びとなっています。

⑤資産移換
先に述べたように、適格退職年金の資産移換も含めて最終期限までに完了する必要があります。この資産移換には通常3ヶ月程度要するため、事例では7月末で完了することになります。
結局、制度改定着手から資産移換まで1年以上も要することになります。

4.手続きが前倒しとなるケースも

確定給付企業年金を移行先とした制度改定スケジュールをご覧になって、どのように感じられたでしょうか?
意外と時間が掛かると思われたかもしれません。
注意すべき点としては、上記のスケジュールはあくまでも現時点における標準的なスケジュールであるということです。
例えば、最終年度に向けて、移行案件が一気に殺到すれば、厚生労働省や金融機関の手続きも今より時間が掛かるようになるでしょう。この場合、最終期限は決められているのですから、すべて前倒しとなることを覚悟しておく必要があります。
例えば、今なら2ヶ月で完了している作業が4ヶ月掛かるようになれば、当然その分前倒しで作業を進めなければならないということです。
したがって、今以上に余裕のあるスケジュールを組む必要があると言えましょう。

5.制度移行が完了しなかったら

たまに「国が最終期限を延長してくれるのではないか?」という質問を受けることがありますが、これまでのところ厚生労働省は「そのようなことは一切しない」と断言しております。
なぜなら、最終期限まで10年間も制度移行を検討する猶予期間があったのであり、10年経っても移行できなかった会社が仮に半年や1年延長しても移行できるとは到底考えられないからです。
また、制度移行が最終期限までに完了しなかった場合に、どのような扱いになるのかはまだ細かい部分まで判明していませんが、少なくとも

1. 税制優遇の廃止(掛金が損金処理できない=従業員に給与所得して課税)
2. 他の制度へ移行できない(解約による従業員への払い戻し=一時所得扱い)

といったケースは想定されます。
これらのケースは会社にとってメリットが少なく、従業員に対する説明・同意取得などでも難航が予想されますので、制度改定へ大至急着手することが結果として期限超過を防ぎ、この問題を解決する最善策になると言えましょう。

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